< 「これだけ知っていればなんとかなる」計画化の理論とツール ①:環境分析>

 世の中の大きなトレンドを考えるフレームワークとしてはPEST分析が有名です。これは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字をとったものです。試しに最近の世界情勢(2022年の春時点)をPESTで考えてみると、私のアタマにパッと浮かぶのは、

 

  P(政治):米中対立+ロシア

  E(経済):グローバリズムのひずみ、資源価格の高騰、SDGsESG投資

  S(社会):コロナ禍、ダイバーシティ

  T(技術):AI技術、ロボティックス技術、メタバース、ブロックチェーン

 

 PESTのほかに、人口動態の傾向、文化的傾向、経済環境、法的・政治的情勢、特定の国際的事象、技術の変化の6つに分類するという流儀もあります。

 

 

 3C分析は周辺環境(顧客、競合)と内部環境(自社)をまとめて分析範囲とします。周辺環境をより詳細に分析するフレームワークが5フォース分析で、5つの要素で分析を進めます。内部環境の分析では経営資源の価値を分析するVRIO分析が有名です。

環境分析のフレームワークと守備範囲

 環境要因を列挙・整理するツールとしてSWOTクロスSWOTがあります。SWOTは強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を並べたものです。クロスSWOTSWOTを縦軸・横軸に配置して4つの環境特性(S-O, S-T, W-O, W-T)それぞれにおける有効な戦略を探るものです。例えばW-O(弱みと機会の組み合わせ)ならば「弱みを自ら克服して事業機会を実現させる」「弱みはパートナーとの提携で補う」「慌てずに学びながらゆっくり進む」などが考えられます。

 

 PEST、3C、5フォース、VRIOはすべてSWOTとの相性はよいので、「PEST+3CSWOT」とか、「PEST+5フォース+VRIOSWOT」という風に組み合わせて使うことができます。余裕があれば後者がお薦めです。より精緻な分析ができます。

 

 

 なお、この分析フレームワークには「戦略の持続性」という観点が欠落していると言われてます。事業環境が長期的に比較的安定していた時代には「持続性」を気にすることはなかったのですが、いまや、変化の激しい時代で、競争優位が実現できても、それがいつまで保てるのかをよく考える必要があるということです。

SWOT分析とクロスSWOT分析